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日本人の英語スピーキング力、3年連続調査結果を発表。向上の兆しあるが、TOEIC(R)テスト高得点者の7割は「英語を話して業務を行う」のは難しいレベル-『アルク英語教育実態レポートVol.7』6月27日

スピーキング力が上昇傾向にあるのは、製造業の一部業種とグローバル化に積極的な大学・大学院

株式会社アルク(東京都杉並区永福 代表取締役社長:安嶋 明、以下アルク)は本日、『アルク英語教育実態レポート(Vol.7)日本人の英語スピーキング能力-リスニング・リーディング力との関係性に見る英語運用能力の実態-』を発表しました。

ビジネスのグローバル化に伴い、コミュニケーションの手段としての英語力の必要性が高まっているにも関わら
ず、「仕事で英語が必要になったけれどできなくて困っている」「読み書きはできるけれど、話すのは苦手で…」という声は後を絶ちません。日本人は本当に「英語を話せない」のでしょうか。また、その状況に変化はないのでしょうか。

英語学習者に成果をもたらす有益な方法を調査・研究する「アルク教育総合研究所」では、日本人の英語スピーキング力に関する調査レポートを、年に1度公表しています。本レポートは、2014年3月(http://www.alc.co.jp/company/report/pdf/alc_report_20140318.pdf)、2015年7月(http://www.alc.co.jp/company/report/pdf/alc_report_20150717.pdf)に続く3回目となります。今回の分析では、社会人や大学生で「英語を使って業務や学業が行える」人はまだ約1割と少なく、リスニング力・リーディング力とスピーキング力とのバランスがあまり良くないという課題が浮き彫りになる一方で、全体としては英語スピーキング力は上昇の兆しがあり、特に製造業の一部業種や大学生で上昇傾向があるという結果になりました。なお、英語スピーキング力の測定には、電話で受験できる英語のスピーキングテスト「TSST(Telephone Standard Speaking Test)」(詳細:http://tsst.alc.co.jp/)を使用しています。

【調査対象】
2004年から2015年12月までにTSST(Telephone Standard Speaking Test)を受験した人のうち、TOEIC(R)テストスコアを持つ25,559人。

【調査結果】
■TSST受験者の英語スピーキング能力
1. 英語を使って業務・学業が行えるスピーキング力を持つのは社会人も大学生も約10%だが、過去5年間ではスピーキング力に上昇の兆しも見える
分析対象のTSST受験者のうち、英語を使って業務や学業が遂行できるTSSTレベル6以上に属するのは、分析対象者全体、社会人、大学生、それぞれにおいて約10%にとどまる(図1)。
[画像1: http://prtimes.jp/i/888/831/resize/d888-831-725642-9.jpg ]


しかし、過去5年間の推移を見ると、基礎学習が必要なTSSTレベル1〜3の割合が減り、「英語を使って業務・学業が行えるレベルの一歩手前である」TSSTレベル4〜5の割合が増加傾向にある(図2)。日本人のスピーキング力は上昇の兆しがあると言える。

[画像2: http://prtimes.jp/i/888/831/resize/d888-831-255355-2.jpg ]


※TSSTの9段階評価は、レベル1が最も低く、9が最も高い力を表します。

2. スピーキングが得意な人の約9割は、リスニング・リーディング力も高い
スピーキング力の面で英語を使って業務や学業を遂行できるTSSTレベル6以上の人の約9割は、TOEIC(R)テストスコア730点以上で、リスニング・リーディング力の面でも、英語を使って業務を行うことに大きな支障はないレベルである(図3)。
[画像3: http://prtimes.jp/i/888/831/resize/d888-831-132272-3.jpg ]


3. リスニング・リーディングが得意な人の約7割は、スピーキングが苦手である
TOEIC(R)テストスコアが730点以上の人のうち、スピーキング力の面で英語を使って業務や学業を行えるTSSTレベル6以上を取得しているのは31.3%にとどまる。残りの68.7%は、英語で業務や学業を行うためのスピーキング力が不足しており、リスニング・リーディング力とのバランスがあまり良くない(図4)。
[画像4: http://prtimes.jp/i/888/831/resize/d888-831-720865-4.jpg ]



■社会人受験者の英語スピーキング能力
4. 業種別では、金融系の業種と「海運業」の英語スピーキング能力が高い
分析対象とした23業種中、金融系の業種や「海運業」で、他業種に比べて英語を使って仕事ができるTSSTレベル6〜9の割合が高く、TSSTレベル平均も高い。一方、あまり英語が話せないTSSTレベル1〜3の割合が高く、TSSTレベル平均も低いのは、製造業に属する業種である。TOEIC(R)テストについても、同様の分布が見られる(図5)。
[画像5: http://prtimes.jp/i/888/831/resize/d888-831-917867-5.jpg ]


5. 「銀行業」ではリスニング・リーディング力とスピーキング力のバランスがあまり良くない人が多い
TOEIC(R)テストのスコアが730点以上の人の割合は、今回分析対象とした業種中、「銀行業」で最も高く約7割を占めるが、「銀行業」のTSSTレベル6以上の人の割合は約2割で、「海運業」や「その他」に比べて少ない。
「銀行業」では、英語を使って業務を行うのに必要なリスニング・リーディング力が高い人が多いが、その割に「英語を使って業務を行う」ためのスピーキング力が足りない人の割合が高い(図6)。リスニング・リーディング力とスピーキング力のバランスがあまり良くない人が多いと言える。
[画像6: http://prtimes.jp/i/888/831/resize/d888-831-508496-6.jpg ]



6. 主に製造業で「英語をあまり話せない」層が、過去3年間で減少している
主に製造業に属する一部の業種では、2013年〜2015年にかけてTSSTレベル1〜3の割合が減少している(図7)。
[画像7: http://prtimes.jp/i/888/831/resize/d888-831-544915-7.jpg ]


■大学生受験者の英語スピーキング能力
7. グローバル化に積極的な大学・大学院の学生の英語力は、過去5年間で高まっている
2011年から2015年にかけて、大学生受験者のTSSTレベル、TOEIC(R)テストスコアの双方において、高スコア層の割合が増加し、平均も高まっている。グローバル化に積極的でTSSTを受験している大学・大学院では、リスニング・リーディング力、スピーキング力の両面において、学生の英語力が高まっていると言える(図8)。
[画像8: http://prtimes.jp/i/888/831/resize/d888-831-366061-8.jpg ]


【まとめ・考察】
社会人・大学生とも「英語を使って業務・学業が行える」人は1割程度。
リスニング・リーディング力とスピーキング力とのバランスがあまり良くない。
一方で、製造業と大学生を中心にスピーキング力上昇の兆しも見える。
社会人、大学生の英語スピーキング力は、共に「英語を使って業務・学業が行える」スピーキング力を持つ人(TSST9段階評価のレベル6以上)は約1割という結果でした。今の日本で英語を使う・話す状況にある社会人や学生は、その多くが、まだかなり苦労しつつ英語で業務や学業に取り組んでいると考えられます。

TOEIC(R)テストスコアとの相関を見てみると、TOEIC(R)テストで730点以上のスコアを習得できるリスニング・リーディング力がある人でも、その約7割がTSST5以下で、英語を使って業務を行うのは難しいことが分かりました。この傾向は、業種別に見ると、「銀行業」に顕著に表れています。このような、リスニング・リーディング力とスピーキング力のバランスがあまり良くない状態を解消するためには、リスニング・リーディング力が高い人(TOEIC(R)テストスコア730点以上)であっても、英語で業務や学業を行う必要性に迫られた場合には、まずスピーキングテスト等でスピーキング力を見極め、足りない場合は必要に応じて補強することが望ましいと言えます。

一方で、今回の調査では、スピーキング力上昇の兆しも見えました。過去5年間では、分析対象者全体で、まだ基礎学習が必要なTSSTレベル1〜3が減少し、「英語を使って業務・学業が行えるレベルの一歩手前である」TSSTレベル4〜5の割合が増加する傾向にあります。また、製造業に属する業種を中心に、いくつかの業種(繊維製品、化学、精密機器など)では、TSST1〜3に属する人の割合が減少しています。仕事での英語使用実態に関して当研究所が行った別の調査(2015年3月『アルク英語教育実態レポートVol. 3 -日本人の仕事現場における英語使用実態調査-』p.14 http://www.alc.co.jp/company/report/pdf/alc_report_20150317.pdf)では、「製造業」では、技術者をはじめとして、「英語を使わざるを得ない環境にいる」人が多いことが明らかになっています。そのような人の存在が、製造業などでのスピーキング力の向上につながっているのかもしれません。また、大学生・大学院生については、スピーキング力、リスニング・リーディング力共に上昇傾向にあります。TSSTを受験している大学・大学院の多くは、グローバル化推進に積極的ですが、こうした大学・大学院の努力が功を奏し、学生の英語力が高まっているのではないかと考えられます。

今後も、TSSTという指標を用いて、日本人のスピーキング力の変化を調査し、スピーキング力向上への処方箋を探っていきます。

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