文部科学省は12月13日、中学校の英語の授業を、原則として英語で行う方針を決めた。国際的に活躍する人材を育てるため、英語による対話能力向上を目指すとし、すでに英語で授業が行われている高校では、内容をより高度なものにするという。時事ドットコムが報じている。
文部科学省は13日、国際的に活躍できる人材を育成するため英語教育に関する実施計画をまとめた。中学校の英語授業は原則として英語で行い、高校の授業では発表や討論などに重点を置き卒業時に英検2級から準1級程度の英語力を身に付ける目標を設定した。2018年度から段階的に導入し、20年度の全面実施を目指す。
文科省は13日に「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を発表。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、教育体制整備する考えだ。小学校5・6年生で英語を正式な「教科」とすることや、教員の「英語力」を公表する仕組みを設けることも盛り込まれた。英語教員には英検準1級、TOEFL
iBT 80点程度等以上を求める。
しかし、これまで小学校で英語を教えることが前提で教員資格の制度が作られていないため、教員の養成をどうするかなどの課題が残る。下村博文・文部科学大臣は13日の記者会見で、財源などに触れ、教員の確保に課題が有ることを認めている。
2012年12月に行われた文科省の調査によると、中学校の英語教員のうち、英検準1級以上に相当する資格を持つ英語担当教員の割合は27.7%となっている。
東京都の猪瀬直樹知事は11月15日、2020年の東京オリンピック開催に向けた新規事業として、毎年約200人の英語教員を、3カ月間・海外の大学に派遣するなどの方針を発表している。また、週に4日程度、学校に常駐する外国人教師を新たに100人程度迎えるとしている。
一方、母国語の習得もままならないうちに、外国語を学ぶことの懸念について、言語学が専門の明海大学外国語学部の大津由紀雄教授は、次のように指摘する。
文科省は今回発表した計画のなかで、日本人としてのアイデンティティを確立することも強調。英語教育の推進と併記して、国語科の授業数の増加や、小学校の低・中学年での古典の内容を新設すること、そろばん、和装などを学ぶ機会の充実にも努めることなども盛り込んだ。グローバル化を単なる「英語を話せる人材を育成すること」と捉えるのではなく、「日本人として海外と交流できること」を目的とした。
* 中高生版TOEFL開始…実践的英語テスト続々
海外の大学で留学生の選抜などに使われている英語力テスト「TOEFL」の中高生版が19日、東京都内で実施された。
20日には、大学入試向けに開発された「TEAP」も始まる。昨年度から高校の英語の授業は英語で教えることになっており、実践的な新テストに注目が集まっている。。
TOEFLの中高生版は、米国の非営利教育団体が開発した「TOEFL Junior Comprehensive」で、パソコンを使って「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測る。19日は、郁文館グローバル高校(東京)の1年生20人が挑戦。「話す」技能では、ヘッドホンから流れる会話を要約してマイクで答える問題も出され、生徒の1人(16)は「答える内容はわかっているのに、英語が出てこない」と話した。11月には、広く参加者を募る公開テストも始まる。
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TEAPは、日本英語検定協会と上智大学が共同開発。20日の公開テストは、「読む・聞く」の2技能で行われ、9月に「書く」、12月に「話す」も加わる。ベネッセコーポレーションが手がけた「GTEC CBT」も8月2日に4技能の公開テストが行われる予定だ。